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【亡き人を想う気持ちは、かたちを変えても受け継がれていく】
近年、「墓じまい」という言葉をよく耳にするようになりました。
お墓を継ぐ人がいなかったり、遠方に住んでいる子ども世代に負担をかけたくなかったりと、
さまざまな理由で、先祖代々のお墓を整理するご家庭が増えています。
けれど、その背景には「寂しい話」だけではなく、
家族や大切な人を想う“温かな決断”があるのではないでしょうか。
そしてその選択は、お墓という「かたち」の問題にとどまらず、
相続や遺言といった「これからの備え」を考えるきっかけにもなっています。
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【「相続=お金」だけじゃない。想いをつなぐことも、大切な相続です】
相続というと、どうしても“財産”や“手続き”のイメージが強く、
どこか距離を感じてしまう方も多いかもしれません。
でも本来の相続とは、「大切な人から受け継ぐものすべて」を指すのではないでしょうか。
それは、土地や預金のような物理的な財産だけでなく、
生き方や価値観、ご先祖への感謝の気持ち、家族への思いやり…
そうした“目に見えないもの”も含まれているはずです。
たとえば、墓じまいをしたとき、
「これからも気持ちの中で手を合わせていく」と家族で話し合った経験。
その中にこそ、心の相続が息づいていると感じます。
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【今できる準備が、“生きているうちの最後の優しさ”になる”
遺言を作成する方が増えているというニュースもあります。
法的な効力を持たせるだけでなく、「付言事項(ふげんじこう)」という形で、
家族に伝えたい想いやメッセージをそっと添えることもできます。
たとえば——
「お墓を整理したのは、みんなに負担をかけたくなかったからね」
「あなたたちには、自分の人生を大切にしてほしい」
そんな言葉が、残された家族の“支え”となることもあるでしょう。
専門家に相談すれば、形式や内容に不安を感じずに進められます。
でも一番大切なのは、“ご自分らしい伝え方”を大切にすること。
それが、ご家族の安心と、心のつながりを育てていくと思うのです。
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【終活は、「感謝」と「愛情」を伝える時間】
墓じまいも、遺言も、終活というとどうしても“終わり”を連想してしまいがちです。
けれど私は、それを「人生の締めくくり」ではなく、
「大切な人へ想いを伝える時間」だと考えたいのです。
季節の花を生けるとき、
花材ひとつひとつに意味があり、心を込めて配置していきます。
終活もそれとよく似ていて、人生の最後に、どんな“花”を残すのか。
どのようにして、次の世代につなげていくのか。
その“かたち”に、正解はありません。
けれど、心をこめて準備したその行為は、
きっと大切な誰かの心に、長く咲き続けるはずです。
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もしこの記事を読んで、
「私もそろそろ考えてみようかしら」と思っていただけたなら——
それが、心の相続の第一歩です。
どうぞ、ご自身らしい「未来への贈り物」を、
ゆっくりと、丁寧に、準備していかれてくださいね。
