相続手続きを進めようとした際、「相続人の一人と何年も連絡が取れない」「住所が分からず所在が不明」というケースは決して珍しくありません。
「相続人が行方不明だと遺産分割はできないのでは?」
「相続手続きはこのまま止まってしまうのでは?」
このような不安を抱えている方も多いでしょう。
結論からいうと、相続人が行方不明であっても相続手続きを進める方法はあります。ただし、相続人を無視して遺産分割を進めることはできず、法律に基づいた適切な手続きが必要になります。
この記事では、大阪市・高槻市で相続・遺言業務を取り扱う遺言相続専門行政書士が、相続人が行方不明の場合の相続手続きや利用できる制度、注意点について分かりやすく解説します。
目次
相続人が行方不明でも相続手続きはできる?
相続人が行方不明とは?
「行方不明」といっても、法律上は明確な定義があるわけではありません。
例えば、
- 住所に住んでいない
- 何年も連絡が取れない
- 住民票を追っても所在が分からない
- 海外へ渡航後、消息不明になっている
このような状態が該当します。
まずは戸籍や住民票の除票、戸籍の附票などを取得し、現在の住所を調査することから始めます。
相続手続きが止まる理由
遺産分割協議は、相続人全員の参加が必要です。
一人でも参加していない場合、その協議は原則として無効になります。
つまり、行方不明者がいる場合は、そのままでは遺産分割協議を成立させることができません。
相続人が行方不明の場合に利用できる制度
不在者財産管理人とは
相続人の所在が分からない場合には、家庭裁判所へ「不在者財産管理人」の選任を申し立てることができます。
不在者財産管理人は、行方不明者本人の利益を守るために選任される代理人です。
選任後、家庭裁判所の許可を得ることで、遺産分割協議へ参加することが可能になります。
不在者財産管理人選任の流れ
- 行方不明者の所在を調査する
- 家庭裁判所へ申立て
- 不在者財産管理人が選任される
- 遺産分割協議を行う
- 家庭裁判所の許可を受ける
- 相続手続きを進める
失踪宣告との違い
行方不明の期間が長い場合には、「失踪宣告」という制度が利用できる場合があります。
一般的には、
- 普通失踪:7年間生死不明
- 特別失踪:災害等による生死不明
という要件があります。
失踪宣告が認められると、法律上死亡したものとして取り扱われます。
ただし、利用できる要件は厳格であり、すべてのケースに当てはまるわけではありません。
相続人が行方不明の場合の相続手続きの流れ
① 相続人調査
戸籍を収集し、法定相続人を確定します。
② 所在調査
住民票や戸籍の附票などから住所を確認します。
③ 家庭裁判所への申立て
所在が判明しない場合は、不在者財産管理人の選任を申し立てます。
④ 遺産分割協議
管理人を含めた遺産分割協議を行います。
⑤ 各種相続手続き
・相続登記
・預貯金の解約
・株式の名義変更
・自動車の名義変更
などを進めます。
大阪市・高槻市で相続手続きを進める際の注意点
手続きを放置するとどうなる?
相続人が見つからないからといって放置すると、
- 不動産の名義変更ができない
- 不動産の売却ができない
- 預貯金を引き出せない
- 相続人がさらに増える
など、手続きがより複雑になる可能性があります。
相続登記の義務化にも注意
令和6年4月から相続登記が義務化されました。
不動産を相続した場合は、原則として相続を知った日から3年以内に相続登記を行う必要があります。
相続人が行方不明だからといって、何も対応しないまま放置することは望ましくありません。
遺言相続専門行政書士がサポートできること
当事務所では、大阪市・高槻市を中心に相続手続きに関するご相談を承っています。
具体的には、
- 相続人調査
- 戸籍収集
- 相続関係説明図の作成
- 法定相続情報一覧図の取得支援
- 遺産分割協議書作成支援
- 家庭裁判所の手続きが必要な場合の他士業との連携
- 司法書士・弁護士・税理士とのワンストップ対応
など、状況に応じたサポートをご提供しています。
行政書士は家庭裁判所への代理申立てを行うことはできませんが、必要書類の収集や書類作成支援、提携する弁護士・司法書士との連携により、円滑な相続手続きをお手伝いします。
よくある質問(FAQ)
Q. 相続人と20年以上連絡が取れません。相続できますか?
はい。所在調査を行ったうえで、所在が判明しない場合には、不在者財産管理人制度などの利用を検討します。
Q. 行方不明者を除いて遺産分割協議をしても大丈夫ですか?
いいえ。相続人全員が参加していない遺産分割協議は、原則として無効となるため注意が必要です。
Q. 家庭裁判所の手続きにはどのくらい時間がかかりますか?
事案にもよりますが、数か月以上かかることがあります。早めの準備が重要です。
まとめ
相続人が行方不明であっても、相続手続きを進める方法はあります。
ただし、相続人を除外して手続きを進めることはできず、不在者財産管理人や失踪宣告などの制度を適切に利用する必要があります。
また、相続登記の義務化により、相続手続きを長期間放置するリスクも高まっています。
相続人の所在が分からずお困りの場合は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。
大阪市・高槻市で相続人が行方不明の相続手続きならご相談ください
当事務所では、大阪市・高槻市を中心に、相続・遺言に関するご相談を承っています。
相続人調査から戸籍収集、遺産分割協議書の作成支援、必要に応じた弁護士・司法書士との連携まで、一人ひとりの状況に合わせたサポートをご提供いたします。
「相続人の所在が分からない」「何から始めればよいか分からない」といったお悩みがありましたら、お気軽にお問い合わせください。
遺言書が「予防法務」といわれる理由
ここまでご説明したように、相続人の一人が行方不明になってしまうと、不在者財産管理人の選任や家庭裁判所での手続きなど、相続人やご家族に大きな時間的・精神的負担が生じることがあります。
しかし、被相続人が法的に有効な遺言書を作成し、遺産の分け方を明確に指定していれば、遺産分割協議が不要となるケースが多く、相続人が行方不明であることによって生じるこれらの手続きを回避できる可能性があります(※遺留分への配慮や遺言内容によっては例外があります)。
このように、将来起こり得る相続トラブルや手続き上の負担を未然に防ぐことができる点から、遺言書は「予防法務」の代表的な手段といわれています。
「まだ元気だから必要ない」と考えるのではなく、ご家族が安心して相続手続きを進められるよう、元気なうちから遺言書を作成しておくことが、大切なご家族への思いやりにもつながります。
当事務所では、大阪市・高槻市を中心に、遺言書の作成から相続手続きまで一貫してサポートしております。将来の相続に少しでも不安を感じている方は、お気軽にご相談ください。

