「エンディングノート」という言葉を耳にする機会が増えています。終活の一環として、自分の人生や希望を記録し、家族や関係者に伝えるためのノートですが、その役割は単なる備忘録にとどまりません。人生の棚卸しや、万が一のときに備える大切な手段として、エンディングノートは多くの人にとって必要不可欠な存在となっています。本記事では、エンディングノートの基本から書き方、法的効力の有無、士業のサポートまで詳しく解説します。
目次
エンディングノートの基本と目的
エンディングノートとは、自分の人生に関する情報や、万が一のときに家族や関係者に伝えたいことを記録するノートのことです。医療・介護・葬儀・相続・遺言などの希望に加え、口座情報や保険証券、SNSのアカウント情報など実務的な内容も含めることができます。形式は自由で、市販のノートや自作のフォーマット、デジタル版など多様です。目的は、自分の意思を明確にし、家族が困らないようにすることにあります。
遺言書との違いと法的効力
エンディングノートと混同されやすいのが遺言書です。最大の違いは「法的効力の有無」です。遺言書は民法で定められた形式に則って作成すれば法的拘束力を持ちますが、エンディングノートにはそのような効力はありません。したがって、財産分与など法的に確実に実行したい内容は、必ず遺言書で記載する必要があります。
さらに重要なのは、エンディングノートが「生前に実現したいこと」を記録するためのツールである点です。つまり、自分が生きている間に「こうしてほしい」と希望することを伝える手段として活用でき、状況によってはその内容を実際に反映させることが可能です。一方、遺言書は原則として死後に開封されるため、「死後に実現したいこと」に特化した書類であるという違いがあります。
また、エンディングノートは、認知症などによって意思表示が難しくなった際に「過去の自分の考えや希望」を伝えるための優秀なツールでもあります。たとえば、「延命治療はしてほしくない」「施設には入りたくない」といった医療・介護に関する希望を記録しておくことで、家族や支援者が適切な判断を下すための指針となります。
記載すべき主な項目と書き方
エンディングノートに記載する内容は自由ですが、次のような項目が一般的です:
- 基本情報(氏名、生年月日、連絡先など)
- 医療・介護に関する希望(延命治療の可否、施設の希望など)
- 葬儀・埋葬に関する希望(形式、場所、喪主など)
- 財産・保険・口座情報
- 相続に関する考え
- 大切な人へのメッセージ
書き方は手書きでもパソコンでも構いません。何よりも重要なのは「定期的に見直すこと」と「家族が見つけやすい場所に保管すること」です。
士業のサポートとエンディングノートの活用
行政書士や司法書士などの士業は、エンディングノートの内容を整理するうえで頼れる存在です。特に、遺言書や任意後見契約、死後事務委任契約など、エンディングノートの記載内容を法的に実効性ある形でサポートすることが可能です。例えば、エンディングノートに記された財産情報をもとに、公正証書遺言を作成することで、トラブルの予防につながります。また、定期的な相談を通じて、内容の見直しや追加情報の反映もサポートできます。
デジタル時代のエンディングノート
近年では、スマートフォンやパソコンで作成・管理できる「デジタルエンディングノート」も登場しています。パスワード管理やクラウド保存、共有機能などが備わっており、紙のノートよりも更新やバックアップが容易です。ただし、アクセス制限やセキュリティに配慮が必要なため、信頼できるサービスを選び、第三者にアクセス方法を伝えておくことが肝要です。
まとめ:エンディングノートは「心の遺言書」——早めの準備で安心を
エンディングノートは、法的効力こそありませんが、家族や周囲の人々にとっては「心の遺言書」として大きな意味を持ちます。特に、認知症などの判断力低下に備えて、自分の意思を明確に伝える手段として極めて有効です。突然の病気や事故に備えて、元気なうちに作成を始めておくことで、自分らしい人生の最期を実現する一助となるでしょう。記載内容を法的手続きと連携させたい場合は、早めに行政書士などの専門家に相談することをおすすめします。人生の「もしも」に備える一歩として、今日から始めてみてはいかがでしょうか。

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